事業と起業

企業の目的はお客様を獲得することだ。ではどうやって? そこにいろいろな手法があり、全戦全勝の方法などありえない。また、企業の根本での最重要課題は「いかに存続するか」だ。企業には多くの人の生活がかかわっていることを経営者は肝に命じなければならない。存続のために顧客を獲得する。そのためにいろいろなことを会社として実践していく。
さて、タイトルの目的は、起業して会社を作った場合と既にある企業内で事業を起こす場合とでは異なることを記述するためだ。片方は事業=企業での起業だが、片方では事業=企業ではない。企業は多くの事業から成り立つことをここでは前提としていて、すでに事業がながれている会社と考えている。
起業にはそれだけの大いなる「決心」が必要だ。インテルアンディ・グローブの言う「パラノイヤだけが生き残る」とはけだし名言だ。私は一度、社長として起業し、平取締役としてその会社を閉めている。あまかったと思う。もっと楽に会社を起こし、会社を成長させれると、過信していた。ま、そんな中でも自分としては前向きに、必ず良くなると信じてやってきたが。
さて、今度は新たなる出発である。方針は、会社内での新規事業(もちろんカメラ技術をコアにする)の立上げをまず行い、それをもって起業する。「それをもって」とは何か?はまだ決めてない。おそらく、立ち上げた事業とレバレッジをもつ新事業を探すことになる。その新事業によって、もとの事業にも恩恵がでるような新事業だ。起業ありきでは無く、事業ありき。しかも既にある企業の大いなるリソースを利用できる。
今後の3年間を自分の勝負の期間とし、集中する。

事業を起こすということ

事業を起こすということの楽しさの一つは人との触れあいだ。現在の事業には、他社との連携が必ず必要だから、必ず他人と交渉しなければならない。それを楽しいと思わなければ起業はできない。


自社だけで完結する商品造りなど無い。いまや商品には多くの技術が寄り集まっている。技術だけではない、他の商品やサービスと一体となる場合もある。事業を起こすには、その仕組みを故意につくり、マネジメントしなければ成功はない。


技術さえあれば何もしないで待っていても成功したのは古き良き時代だ。今はもうそのようなことはない。だからお年寄りの成功者はあてにならないケースも多い。気をつけた方が良い。新しい船には新しい水夫が乗り込んでいくのだ。


協業をアライアンスという。アライアンスでは相手が何を望んでいるのかに気を配る。それは必ずしも成功や金銭ではない。
それを理解し企業アライアンスを実現出来る人はそんなにはいない。特に日本にはいないのではないか。


また、起業にはビジョンが必要だ。そのビジョンに向かってみんなを引いて行く能力が必要だ。


事業を興すにはどんな能力が必要なのか、どうすればいいのか、についてもこれからも書いていく。
カメラ事業を興すプロセスの中で気づいたり、考えたりしたことだ。もちろん過去の失敗から学んだことも沢山ある。自分の記録として書いていくが、もしも起業しようとしている人が本ブログを見たときに役に立てればいいなとも思いながら「記録」していく。

撮像センサー

さて、撮像センサーです。
現在の撮像センサーとしてはCCDやCMOSがあります。私の個人的な感触では、最近はCMOSセンサーの方が勢いが出てきているような気がします。CCDに比較してノイズの問題や受光面積の問題などありましたが、かなり改善されています。
話をちょっと戻して、レンズで集められた光は撮像センサーに集まります。センサーではその光を電気に変える(光電変換)素子が並んでいて、光の当たり具合によって、電荷を蓄えます。たくさんあたればたくさん蓄えます。全然光が入らない(真っ暗)な状態は黒に相当します。実際はやや電荷は溜まるので、センサー出力後に、その分を差し引いて黒補正を行います。また、光が入りすぎてもあふれるので真っ白にとんでしまいます。光に対するセンサーの反応曲線、ダイナミックレンジを参考に入光を制御することになります。
さて、前の段落で黒とか白とか言いましたが、センサーで光から色を取り出さないとカラー画像はできません。そのために、センサーの受光素子にカラーフィルターを付けます。多いのは赤と青と緑のフィルターを付けたものです。横方向に赤緑赤緑赤緑と順に並べます。そしてその上下に赤の下(上)に緑、緑の下(上)に青という具合に、緑青緑青緑青とならべて、市松模様を作ります。2x2の受光素子を取り出すと、フィルターは赤緑の下に緑青となります。この一つ一つの受光素子出力を画素といいますが、2x2に緑2画素と赤1画素、青1画素になります。これをBayer(ベイヤー)配列と言い、市場にある、約80%の素子がベイヤー配列です。これを左に45度傾けたような配列をもつものをハニカム配列と言い、富士フィルム社が考えたものですが、そこから、受光素子数の約1.8倍の画素を計算で生成します。ちょっと絵が無いとわかりずらいので、そのうち追加します。
さて、この時点での画素は、1画素がそれぞれ赤と青と緑の画素です。おのおの9-12ビットの階調を持っています。これを1画素で、赤・緑・青(RGB)の値を持つようにデータ処理を行う部分が、アナログで言う「現像」処理にあたります。1画素がたとえば、12ビットの赤だったのが、「現像処理」後には24ビットのRBGを持つ画素になります。すごい。ここで、「画像」が作られるのです。俗に「絵作り」とよばれて、各社でことなる画像の特徴があるのはこの処理が異なるためです。「絵作り」(現像処理)に関しては、次回にします。
センサーは大きいと光をたくさん受けれるので、きれいな画像になります。デジタル1眼などでは大きなセンサーを使っていますね。また、カメラの仕様でセンサーの大きさが書いてあるのはそれを参考にしてもらうためです。もちろん、受光素子数(画素数)の数が多いと一個あたりの光のあたる面積が小さいので性能が悪くなります。大きさと画素数での判断が必要ですね。ではまた。

カメラモジュールとは、まずはレンズ部分から。

さて、カメラモジュールを理解しないと、カメラが変化していくことがわかりませんので、これからは、カメラモジュールの説明です。
カメラモジュールは、レンズ部、撮像センサー、センサーの出力データ処理部、及びカメラシステムからなります。モジュールによっては、撮像センサーからの出力を”処理なし”で出力してくるものもありますが、ここでは、カメラとしての基本的な処理をすべて行うモジュールを対象に説明を進めます。
今回はまず、レンズ部分から説明します。
レンズ部分は、カメラへ画像(光)を“集める”重要な部分です。画像(光)を集めて、撮像センサーに画像を投影します。光学手ぶれ補正を内蔵したりします。レンズはガラスやプラスチックから、あるいはガラスとプラスチックを合わせて、作られます。レンズ部では、数枚から10数枚程度の色々なタイプのレンズを組み合わせて、”ぼけやゆがみ”のない画像を撮像センサーに結ぶようにします。(ここで、レンズの収差(ぼけやゆがみのもと)という問題を解決しようとしています。収差はそのうち説明を加えます。とりあえずWikipediaなどを見てください。) レンズには、凸レンズ、凹レンズ、非球面レンズなどありますが、それらを組み合わせるのです。特に非球面レンズは各社ノウハウがあり特徴がでます。また、量産の品質を上げるのが大変です。これが、現状では、日本のメーカーが得意であり、中国系の会社にはまだまだ良い画像を出すレンズの量産ができていないのです。ちなみに性能の良いレンズはガラス製になります。これがブラスチックで金型でばんばん量産できれば、安くなるのですが。
携帯電話に付いているものは、レンズの中でも一番小さな部類に入ります。携帯電話に付いているものでも、レンズが良ければ、明るく、解像度の良い画像を得ることができます。その場合、4枚程度の非球面レンズを含んだレンズ群となります。それでも良いものは金型でン千万円になります。光学ズームも無いのに。これで光学ズーム付きだと、レンズも10枚を軽く超え、億円の壁も突破します。また、レンズ枚数も多くなると、光軸(レンズで光を集めますが、その光の束の中心みたいなもの)合わせもまた大変です。レンズが悪いのか取り付けが悪いのか、判断が難しいのです。ちなみにこの辺のビジネス化も進めています。
工業用、産業用などではまだそれほど高価なレンズ部は不要かもしれませんが、民生用の場合にはきれいな画像を求められるため、レンズメーカーがしのぎを削ることになります。この分野で、画期的なレンズ部ができれば、すごいビジネスになるかもしれません。 もしもその種があれば教えてほしいところです。
ということで、技術的な詳細・用語は省いてできるだけ一般的にわかりやすい言葉で書いています。
今回の最後に、「レンズ部」はカメラの心臓部であり、最終的なカメラ出力の良し悪しはレンズで決まる と述べておきます。

カメラビジネスが変わる?

日本の製造業のうち、まだ中国資本より優れている分野があります。
それは、「レンズ」です。(もちろん他にもあるでしょうが。) 非球面レンズを設計し、生産品質を保つことはまだまだ難しいのです。
「レンズ」の良し悪しは解像度に反映します。自分のカメラ、携帯電話のものでも良いですから、何台か用意して、カラフルな毛糸を束ねて広げたものを撮ってみると良く比較できます。一眼レフカメラなどは、それはもう素晴らしいものです。携帯電話は、各社でばらつきが出ますが、総じて一つ一つの毛糸を判別するのは困難です。もっとも、ノイズ処理の関係もあるのですが。。。

その「レンズ」ですが、中国資本が今年、おそらく日本企業並みに追いつくものと考えられます。彼らも量産ができるようになります。そうなると、日本の企業は、PCでおきたのと同じように、開発と商品企画・販売を行う社員だけ残ることになります。エンジニアに要求される中身が変わるのですね。

ちょっと脱線しましたが、(日本にいる・残るエンジニアに要求される能力についてはまた別の機会に)カメラそのもの機能構成(機能分割といった方がいいかな)もまた、変わろうとしています。CPUの処理能力があがり、DSPみたいなプロセッサが内蔵され、しかも4つが同時に動いたりする、SIMDと呼ばれる機能が入りはじめると、いままで、HWで行っていたものが、SW化されるようになります。なんかインテルにいた頃こんなこと言ったな〜。
では、具体的にどうよぉ。と言われると思いますが、まずは、デジタルカメラ特に、カメラモジュールを理解しないと説明がうまくできません。それは、おいおい説明することにして、ここでのポイントは、
+ カメラの生産は中国資本へと移り始めている。「レンズ」もまた例外ではない。低価格化へ進むということ。
+ カメラそのものの中身が変わろうとしている。今までの経験ではとらえられない商品・販売になろうとしている。
まぁ、チャンスですね。 「何故? どういうこと?」は、これから徐々に明かしていきます。